10月3日に全国的なインフルエンザの流行シーズン入りが発表されました。
これは過去2番目の早さで、他県では既に学級閉鎖や休校が相次いでいます。
今回は、これから冬場にかけて猛威をふるうインフルエンザのお話です。
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【インフルエンザとは】
インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性ウイルス性疾患で、例年11月頃から徐々に増え始め、1月頃に流行のピークを迎え、4月頃に収束へ向かいます。
インフルエンザは咳や鼻水といった飛沫を介して感染し、1~4日ほどの潜伏期間を経て発症します(平均は約48時間)。
悪寒戦慄・急激な高熱と共に発症するのが典型的で、発熱期間は3~5日ほどであることが多く、38℃以上の高熱が持続したのちに解熱に向かいます。
基本は対症療法で、必ずしも治療が必要な病気ではありませんが、重症化すると肺炎や脳症を併発するリスクがあります。
【風邪とインフルエンザは何が違うの?】
風邪とインフルエンザの違いをまとめてみました。
こうしてみると、流行の時期や症状の出方、原因となるウイルスなど様々な違いがあることがわかります。インフルエンザの方が急な全身症状が現れ、合併症のリスクもあるため、風邪よりも重篤であるといえます。
【季節性インフルエンザと新型インフルエンザ】
インフルエンザウイルスは、抗原性の違いによってA型・B型・C型の3つの型に分類されます。このうち冬に流行する季節性インフルエンザを引き起こすのは、A型とB型です。
ヒトに対して多くの感染を起こすのは、A型ウイルスです。ウイルス表面の2つの抗原、ヘマグルチニン(HA;16種類)とノイラミニダーゼ(NA;9種類)によって144の亜型に分類されます。
※インフルエンザウイルス(A型)の構造
新型インフルエンザは季節性インフルエンザとは抗原性が大きく異なり、ほとんどの方が初めて直面するタイプであるため有効な免疫を持っていません。このことから、全国的かつ急速な蔓延により、人々の健康や社会機能に重大な影響を与える恐れがあります。ウイルスの性質によっては世界的な大流行を引き起こし、更には死亡率も高くなる可能性があります。
世界的な流行となり、多くの方が免疫を獲得すると新型インフルエンザは季節性インフルエンザとして落ち着きます。近年の例では、2009年に世界中で猛威をふるった新型インフルエンザA/H1N1が、2011年4月から季節性インフルエンザとしての扱いに移行しています。
【インフルエンザの予防】
インフルエンザを予防するには、以下の方法が挙げられます。
1)手洗い・うがいの徹底
まずは流水・石鹸による手洗いとうがいでウイルスを物理的に除去しましょう。手指のアルコール消毒も効果があります。
2)こまめな換気と適度な湿度の保持
換気をすることで、物理的に風を起こしてウイルスを室内から追い出します。
また空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下するため、加湿器などを使って湿度を50~60%に保つとよいとされています。
3)睡眠と食事
十分な休養と栄養バランスの取れた食事で、体の抵抗力を高めましょう。
4)人混みや繁華街への外出は控える
基礎疾患がある、体調が優れない、睡眠不足など、特に免疫力が落ちている状態の時はなるべく人混みを避けるようにしましょう。外出する時には不織布マスクを着用しましょう。
5)ワクチン接種
感染後に発症する可能性を低減し、もし発症した場合にも重症化を抑える効果があります。
ワクチン接種といえば注射が定番ですが、昨年度からは鼻腔内にスプレーするタイプの「フルミスト」というワクチンの一般接種が始まっています。国内では2歳以上19歳未満が対象となっており、接種時の痛みがないので注射が苦手なお子さまにもよいかもしれません。ただし、喘息やアレルギー性鼻炎、鶏卵を含む鶏由来のものに対するアレルギーなど注意が必要なケースもあるので、接種を検討する際は事前に医師にご相談くださいね。
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長くなりましたが、いかがでしたか?
今回ご紹介した予防策は、インフルエンザだけでなく新型コロナウイルスにも有効です。
しっかり対策をして、自分と周りの人の健康を守りましょう!!
◆◇◆ 検査室 ◆◇◆