Dr.平野の医学コラム第6号

01.12.16 / 医学コラム / Author:

お知らせ

平成28年12月1日より腎臓内科外来が始まります。

診療日は火・水・木・金曜日の午前です。

 

腎臓病だより №1

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 腎臓は体の中の偉大な化学者です

かんじんかなめ(肝腎要)”の言葉とうり、腎臓は体のなかで重要な働きをしていますが、ふだんは認識されることの少ない臓器のように思います。腎臓が悪くなり、人工腎臓で生きていかなければならない人が増えています。そのような人は尿が少なくなったり、まったく出なくなったりします。“失って初めてわかる有りがたさ”の如く、このような状態になってはじめて腎臓の働きの偉大さを痛感するのです。毎日、何気なく食べ物や飲み物を口に出来るのは、実は腎臓が終日一生懸命働いているおかげなのです。体に必要な成分を蓄え、不必要な成分は外に出し、いつも差し引き0の状態にしてくれます。そのような腎臓は、具体的にはどのような仕事をしているのでしょうか。

◆ 腎臓は体内にできる老廃物を排泄します

 たん白質には、他の栄養素には含まれない窒素とリンを含んでいます。水素や炭素は、水や炭酸ガスとなって腎臓以外からも排泄できます。窒素やリンは腎臓から尿中に排泄されないと、体に蓄積されてしまうのです。肉や魚の動物性たん白質や、豆腐、納豆などの植物性たん白質を多量に食べた場合にも、腎臓が過剰に産生された窒素やリンを排泄して、体に蓄積されることはありません。食べ物の中に含まれる非栄養成分やお薬の多くも腎臓から排泄されます。

◆ 腎臓は体液のミネラルを調整します

 体重の60%程度は体液の重さです。この体液中には様々なミネラルがありますが、とくにナトリウム(塩分)やカリウムが多く含まれています。食事などで過剰に摂った塩分やカリウムなどのミネラルは腎臓が排泄してくれるし、不足するようであったら排泄量を減らして、体液のミネラル濃度は常に一定になるようにコントロールしてくれます。

 

◆ 腎臓は血液を弱アルカリ性に維持します

 血液は常に弱アルカリ性(pH7.4)に保たれています。たとえ酸性やアルカリ性の強い食品を食べても、腎臓が調整して血液は弱アルカリ性のままです。

◆ 腎臓からは造血ホルモンが分泌されます

 血液中には赤血球があり、この中のヘモグロビンは酸素を運搬する働きがあります。空気中の酸素濃度によっても、ヘモグロビンが増えたり減ったりします。腎臓から分泌されるエリスロポエチンという造血ホルモンが、ヘモグロビンの量を調節しているのです。

 ◆ 腎臓はビタミンDの働き調節します

 紫外線を浴びると皮膚でビタミンDが作られますが、このビタミンDは腎臓で作用を発揮しやすくなります。腎臓で活性化されたビタミンDは、食事で摂取したカルシウムを腸管から吸収する際に欠かせません。

 

◆ 腎臓は血圧を調節するホルモンを分泌します

 腎臓からはレニンと呼ばれる、血圧を上げるホルモンが分泌されています。血圧が下がった時には、このホルモンが分泌され血圧を回復させます。このホルモンが多く分泌されると高血圧の原因にもなります。

 

         腎臓の一口はなし

腎臓は両方の腰部に一個づつあり、大きさは握りこぶし大です。形がソラマメ状なことから、“豆”といわれています。腎臓は太い血管、細い血管、糸のような極細の血管など多数の血管の塊でできた臓器で、焼肉屋さんでも牛の“豆”はメニューに揃えていることは珍しいので、おそらく食べても美味しくないんでしょう。

倉敷北病院腎臓内科 平 野  宏

 

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