Dr.平野の医学コラム第3号
09.06.16 / 医学コラム / Author: kurakita
元氣を心掛ける老人が元氣である
65歳以上の高齢者の身体機能や健康レベルは、10~20年前より上がっているとする研究結果が日本老年学会で報
告された。同学会は「現在の高齢者は10~20年前に比べて5~10歳は若返っていると想定される」とする声明を発
表した。65-79歳の高齢者では、脳血管疾患や虚血性心疾患など多くの慢性疾患の受療率が減少し、要介護認定率
や死亡率も同様に低下している。さらに65歳以上の高齢者の歩く速度が(歩行速度は身体能力を示す指標とされ
る)、10年間で11歳相当も若返っている。薄暗い早朝に散歩する年寄りも、田圃でトラクターを操作し田植えする
高齢者も、フィットネスジムで筋肉トレーニングに励んでいる老人も、みんな若くて元氣そうである。でも70代
80代のお年寄りが元氣なのである。我われ団塊世代(60代)の高齢者、つまり学校給食を無理やり食べさせら
れてきた世代とは違う話のようにも思える。70代80代の老人は戦争体験者である。飲まず食わず、ひもじさや
寒さに耐えて生きてきた頑強な人たちである。和食中心のヘルシーな粗食を食べてきた。それに比べ、団塊世代は
学校給食で化学合成添加物満載の洋食を食べさせられた。ご飯をパンに替え、味噌汁を牛乳に替えさせられた。で
も戸外で元氣よく遊び身体を鍛えてきたから、今の若者よりは元氣ではある。と同時に健康法が巷に流行っていた
から、病院、医者、薬に頼らないで健康は自分で守るという意識が発達した。高齢者と言っても随分と個人差があ
る。“元氣を心掛ける人が元氣”であって、老人の身は自分で守らなければならないのである。
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